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4.車室内VOC試験方法

I.試験車両
  通常の製造工程を経て製造され、組立・検査終了後、4週間以内(望ましくは、14日後から28日以内)の車両またはそれに相当する車両を用いる。

II.試験方法
試験は、試験スケジュール(図[1])に沿って実施する。また各物質の捕集・分析方法を(表[1])に示す。試験槽内及び車室内の空気捕集は、捕集条件(表[2])に従って実施する。ただし、この捕集条件は推奨条件であり、同等の精度が確保できる他の条件で捕集しても良い。なお、バン型(乗用車派生)及び軽貨物車は乗用車の試験スケジュール・捕集条件を適用する。

図[1] 試験スケジュール
図[1]

試験条件 乗用車 トラック バス
密閉放置条件 A;温度 40℃±2℃ 40℃±2℃ 35℃±2℃
B;時間 4.5時間
捕集時間 【1】;プレコンディション
試験槽内
30分
【2】;密閉放置モード
車室内
30分
【3】;乗車モード
車室内
15分 30分 120分
【4】;乗車モード
試験槽内
15分 30分 120分


表[1] 各物質における捕集・分析方法(注1)
捕集・分析方法
ホルムアルデヒド 固層吸着・溶剤抽出
高速液体クロマトグラフィー
(DNPH/HPLC)
アセトアルデヒド
トルエン 固層吸着・加熱脱着
ガスクロマトグラフィー質量分析
(TENAX/GCMS)
キシレン
エチルベンゼン
スチレン
テトラデカン
フタル酸ジ-n-ブチル
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
パラジクロロベンゼン 住宅特有の物質のため捕集・分析せず
クロルピリホス
ダイアジノン
フェノブカルブ

表[2] 捕集条件
捕集管 プレコンディション
および密閉放置モード時
(30分捕集)
乗車モード時
乗用車
(15分捕集)
トラック
(30分捕集)
バス
(120分捕集)
DNPH 捕集量 12L以上
捕集速度 0.4L/min-1L/min 0.8L/min-1L/min 0.4L/min-1L/min 0.1L/min-1L/min
TENAX
(TAまたはGR)
捕集量 3L以上
捕集速度 0.1L/min-0.2L/min 0.2L/min 0.1L/min-0.2L/min 0.025L/min-0.2L/min

(1)プレコンディション
  初期の車室内空気質を試験槽内空気質と同等にするため、プレコンディションを行う。また、試験槽内及び車室内の空気捕集や車室内温度を制御するための準備を行う。
  手順は、以下の通り。

1) 試験槽を充分に換気しながら、23±2℃に保持する(試験終了までこの状態を保つ)。
2) 試験槽に車両を搬入し、エンジンを停止する。車両温度が試験槽温度と同じになるまで放置する。その後全てのドアを開放し、30分以上放置する。その間に、次の設定を行う。
試験槽内空気捕集用プローブのセット:
試験車両から30〜100cm離れた、高さ100cmの位置にセットする。
車室内空気捕集用プローブ及び車室内温度制御、モニター用熱電対のセット:

<乗用車>
捕集位置は運転者の鼻位置付近とする。例えば、運転席のシート及びステアリングホイールを通常の乗車位置に固定し、ステアリングホイール上部とヘッドレスト支柱を結ぶ線上で、ステアリングホイールから、約50cmの位置にセットする(図[2])。

図[2] 車室内空気捕集プローブ及び熱電対セット位置(乗用車)
図[2]

<トラック・バス>
捕集位置は運転者の鼻位置付近とする。例えば、運転席のシート及びステアリングホイールを通常の乗車位置に固定し、ステアリングホイール上部とヘッドレスト上部を結ぶ線上で、ステアリングホイールから約60cmの位置にセットする。(図[3])。

図[3] 車室内空気捕集プローブ及び熱電対セット位置(トラック・バス)
図[3]

*エアコンの設定:
オートエアコン マニュアルエアコン
エアコン
ON/OFF
ON
内外気切替 内気循環
風量 オート 最小目盛りと
最大目盛りの中央*
風向き オートまたはフェースモード
温度 23℃ 最低温度
*目盛りが偶数の場合は、中央より少ない側の目盛りとする。


3) エンジンを始動させていない状態で全てのドアを閉め車室内を密閉する。
4) 試験槽内の空気を30分間捕集する。

(2)密閉放置モード
密閉された車両に乗り込んだ直後の空気質測定を目的として行う。手順は、以下の通り。

1) 照射ランプにより車室内の捕集位置近傍温度を乗用車・トラック測定時40℃、バス測定時35℃まで昇温する(設定温度到達までの時間は、設備能力に依存するが、0.5〜2時間以内に昇温できる設備が望ましい)。
2) 車室内の捕集位置近傍温度を乗用車・トラック測定時40±2℃、バス測定時35±2℃に制御しながら放置する。(注2)
3) 所定の温度に初めて達した時から4.5時間経過した直後から、車室内の空気を30分間捕集する。但し、捕集前には、空引*を10分間行う。

(3)乗車モード
走行中の室内空間の空気質測定を目的として行う。手順は、以下の通り。

1) 密閉放置モードの車室内空気の捕集終了後、ただちに、各物質用の捕集管を付け替える。
2) 運転席のドアを開け、エンジン及びエアコンを始動させ、すぐにドアを閉める(乗用車及びトラックにおいては、10秒以内に実施する。また、バスについても同様に10秒以内に行うが、構造上10秒以上かかる場合には乗車後に一旦ドアを閉じる等の方策をとり、出来るだけドア開放時間を短くすること)。
3) ドアを閉めた直後から、車室内の空気と試験槽の空気を乗用車測定時15分、トラック測定時30分、バス測定時120分間捕集する。(注3)

(4)個別物質の分析
分析方法は、厚生労働省「室内空気中化学物質の採取方法と測定方法」に準ずる。但し、アルデヒド以外のVOCについては、固層吸着・加熱脱着とする。

(5)結果の処理

1) 同一条件にて捕集した個別物質濃度分析値の平均を測定値とする。
2) ホルムアルデヒドについては、密閉放置モードの濃度を、その他の物質については、乗車モードの濃度を車室内濃度とする(注4)。
但し、プレコンディションの試験槽内濃度測定値と乗車モードの試験槽内濃度測定値の値が大きく異なる場合や、乗車モードにおける車室内濃度が密閉放置モードにおける車室内濃度を大きく上回る場合には、排出ガスの漏れなど、試験上の不具合が考えられるため、必要に応じて再測定を行う。

(注1)車室内のVOCとしては、厚生労働省「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」での室内濃度指針値策定13物質のうち、以下の物質は防蟻剤、防虫剤であり住宅特有の物質であるため、捕集の対象から除外する。
・クロルピリホス・ダイアジノン・フェノブカルブ・パラジクロロベンゼン 
(注2)使用頻度の高い日中における密閉放置時の年間温度頻度解析を行い、通常の使用における大部分を網羅する温度に設定した。
(注3)乗用車の月間走行距離と一週間当たり稼動日数(出典;自工会平成13年度乗用車市場動向調査)、日本の道路におけるピーク時平均旅行速度(出典:国土交通省「道路交通センサス」1999年度)から乗用車の平均乗車時間として15分を算出した。
また、小型トラックの月間走行距離(出典;自工会平成14年度小型・軽トラック市場動向調査)と一週間当たりの稼動日数(会員メーカー調べ)、上記平均旅行速度からトラックの平均乗車時間として30分を算出し、バスについては、事業者へのアンケート結果より、乗務員の平均乗車時間として120分と定めた。
(注4)厚生労働省「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」の指針値は、ホルムアルデヒドが短期暴露影響、その他のVOCが長期暴露影響を基に策定されている。この考え方を乗用車に置き換えると、ホルムアルデヒドは乗り込み時の濃度、他のVOCは実際に乗車しているときの平均濃度で規定することが妥当と考えられる。これより、ホルムアルデヒドについては密閉放置モードの、他のVOCについては乗車モードの濃度を車室内濃度とした。

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