自動車産業の設計・製造段階における電子情報標準化
はじめに
自動車は数千種・数万点もの部品から構成されており、鉄・アルミ・樹脂などの多くの素材を使い、機械・化学・電子などの幅広い業種・業界と関係する裾野の広い産業です。開発から始まって部品調達、生産、販売等、業務が多岐にわたっており、さらには近年のグローバルな自動車ビジネス展開の加速を受けて、これら業務が世界の中で有機的に連繋するオペレーションとなってきました。
従って、自動車産業各社の情報化も、今までの設計・生産・購買部門など分野ごとの個別の展開から、すべての業務を連繋し、情報として1本の流れに集約する方向に進んできています。
多様化する市場ニーズに対応するための、新しいお客様との関係構築や、受注から納車までの迅速化、開発から量産までのリードタイムの短縮等、従来の紙のデータではできなかったことも、市場からのニーズを途切れなく送ってくれる電子データにより可能となりました。
ネットワーク技術の進展は、各種の電子データを必要な部門へリアルタイムに受け渡すことを実現しました。この電子データ・ネットワークも、最初は部門内接続から始まり、企業内へと拡大、そして関連取引先から業界へ、さらには世界へと広がり、グローバルな観点からの対応が必要となってきました。
しかし、多業種・多国間にまたがる各種電子データ・ネットワークの接続は、一企業の手に余るものであり、日本の通信環境・実情を勘案し、日本としてのオーナーシップの確立と国際接続を考慮した取り組みが求められてきました。
日本自動車工業会では、世界に通じる製品設計データ・電子商取引データの各種規格に関係諸国と協調して取り組むと同時に、これらのデータを交換するための通信基盤の整備に取り組んでいます。
本冊子では、日本自動車工業会の電子情報委員会の活動を中心に、自動車産業のオープンネットワーク化と、設計・製造段階における電子情報の標準化についてご紹介いたします。

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