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●自動車産業界におけるCADデータ交換の変遷

1.PDQ(Product Data Quality)の改善活動
異なるCADシステムを用いた場合、データ変換が必要になります。自動車の設計で多用される曲面を主体にした製品形状を伝達するとき、曲面の精度・誤差がつきまといます。この誤差の取り扱いが各CADシステムで異なっており、正しく受け取れないことがあります。
例えば、送り側のCADシステムではソリッドモデルの辺と曲面とのギャップがあっても、受け側のCADシステムの許容できるギャップでなければ受け側ではソリッドモデルになりません。
データ交換時に発生する多くの不具合は、送り手側が作成したCADデータ品質(PDQ:Product Data Quality)が悪いために発生します。こうした自動車メーカーと部品メーカーとの間でのCADデータ交換時のトラブルによる損失は、最低でも年間約25万件、損失金額は年間約71億円、損失リードタイムは1件当たり約1.5日と、非常に重大な問題となっています(数値は、01年8月試算)。
このPDQ問題を改善することを目的として、JAMAとJAPIAは「JAMA/JAPIA PDQガイドライン」の発行、「PDQ活動PRビデオ」の作成などを通して、自動車業界全体へのPDQ問題改善へ向けた活動を続けています。
PDQガイドラインは、「エッジ間のすき間」や「面の折れ」などのPDQ評価項目と、各評価項目を、どのような値にすれば問題が発生しないかという基準値を示しています。

図8●PDQガイドラインの役割   図9●悪いPDQが引き起こすCADデータ流通における損失
DMU(Digital Mock-Up)
RP(Rapid Prototyping)

 

■自動車産業界におけるデータ交換の分類
CADデータ交換は、自社内の異なるCADシステム間、自動車メーカーと部品メーカー、または部品メーカー間で行われています。自動車産業界でのCADデータ交換は、次の3種類のいずれかで行われています。
1.ネイティブ
送り手・受け手が同一CADシステムを使用します。日米欧の自動車産業界では、これが主流になっています。
2.ダイレクトトランスレーター
送り手・受け手のCADシステム間で、中間ファイルを介することなく、直接的にデータ変換します。ダイレクトトランスレーターは、両方のCADのバージョンアップに追従する必要があり、商品の提供には、CADのバージョンアップによりリリースの遅れが出ることもあり、CADをバージョンアップしたために変換ができなくなるという問題も発生します。
3.中間ファイル
中間ファイルとしては、IGES(Initial Graphics Exchange Specification)ファイル、STEPファイル、または独自の形式を使用するのが一般的です。IGESトランスレータやSTEPトランスレータは、一般的には、CADシステムのオプションソフトウェアとして、CADベンダー自身が提供しています。

2.IGESとSTEP
自動車産業界でIGES(Initial Graphics Exchange Specification)ファイルを使用した2次元CADデータ交換はデファクト標準になっています。IGESは81年に制定された標準です。JAMAでは、IGESによるCADデータ交換を安定させるため、92年にJAMA−ISと呼ぶIGESのサブセット標準を作成しました。そして、CADベンダー・ユーザーには、長年のデータ交換の経験により、どうすればデータ変換率が上がるかのノウハウが蓄積されています。3次元CADにおいては、STEPがISO(国際標準化機構)標準として規格化されています。
IGESは、3次元のソリッドデータ交換が事実上困難という機能性と交換精度に問題があり、一方、期待の高いSTEPは変換精度にまだ不安があります。
STEPとは、CADデータの交換を可能にするための表現と交換のための規約です。自動車業界においてCADは至る所で利用されており、設計を行う企業・部門と製造を受け持つ企業・部門が連携・共同して仕事を進めていくことが欠かせません。CADデータを問題なく相互に交換できれば、仕事が大幅に効率化できます。しかし、個々のCADシステムは独自のデータ様式を使用し他社のCADシステムやバージョンの違うCADシステム間でのデータの交換は簡単でないのが実状です。また個々のCADシステムが他のすべてのCADシステムに対応するのは現実的でもありません。
そこで、個々のCADシステムが、STEP規格の中間ファイルを媒介して、CADデータを交換する方法がより現実的です。個々のCADシステムは、独自CADデータ様式からSTEP様式の中間ファイルを作り出す機能と、その中間ファイルからCAD独自データ様式に戻す機能を開発するだけで、すべてのCADシステムとのデータの交換が可能になるのです。
また、STEPはデータの蓄積・再利用・長期保存等にも利用できます。例えば新製品の開発では過去の製品のCADデータを再利用することがよくありますが、CADシステムが作成時と同じ製品・同じバージョンでなければ過去のデータが使えない恐れがあり、過去のデータを更新するか、作成時のCADシステムを使い続けなければならないことになります。そこでSTEP規格でデータを保存すればCADシステムに関係なく、過去のデータの資産を継承することができます。
JAMAはSASIGと共同でAP214のSTEP規格を作成し、01年にISOで承認を得、現在は日米欧共同でAP214規格の保守活動を行っています。

■STEPとは
STEPとは STandard for the Exchange of Product model data の略で、正式名称は ISO10303 Product Data Representation and Exchangeです。
STEPは、ISOで生産技術分野を担当しているTC184の下のSC4で協議・規格作成等がされています。委員会の正式名称はISO/TC184/SC4「Technical Committee 184(Industrial Automation Systems and Integration)/Sub Committee 4(Industrial Data and Global Manufacturing Programming Languages)」です。
この規格は、CADデータの交換を可能にするための「情報表現」と「情報交換」に関する規格で、特定のシステムに依存しない形式で、製品のライフサイクル全体に渡る情報の共有及び交換を可能とするインターフェースの提供を目的とし、形状データのみならず構成管理や運用管理までも含んだデータおよび手順を交換するための標準規格です。
80年代の半ば、製品の形状データや図面データの交換に用いられているANSI規格(ANSI:アメリカ規格協会)のIGESの限界が認識され、STEPの検討が開始されました。
STEPは応用分野ごとのAP(Application Protocol)の集合で、AP203やAP208のように全産業共通に利用される規格、AP207、AP223やAP224のように金型やNCのような特定の業務に利用される規格、AP214のように自動車など特定の産業で利用される規格があります。

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