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特集/ 交通安全 - 四輪車の乗員保護、二輪車の安全運転教育 -
後席用シートベルトの意味
菰田  潔〔モータージャーナリスト〕

1.自動車先進国とは言えない現状
 クルマの後ろの席に乗ったときにシートベルトをしている人は極端に少ない。している人が変人に見えるほど、ほとんどいないと言ったほうがいいだろう。残念ながら、これが今の日本の現状だ。
 JAFによるシートベルトの装着率の調査も、メインは前の席で、後ろの席はほとんどクローズアップされない。その数少ないデータを拾ってみても、後ろの席の装着率は数パーセントに満たない。これはとても自動車先進国とは思えない数字である。
 ボクはどんなクルマに乗ったときでも、シートベルトが装備されていれば必ずするように努力する。それがバスでもタクシーでも。
 しかし、ほとんどする人がいないために、バスのシートベルトはほこりまみれになっていることがよくある。古いバスほどシートベルトの汚れはひどく、通常ならとてもできる状態にはない。そのままするとズボンが汚れてしまうので、しかたなくハンカチを出してふいてからする。
 タクシーにはよく乗るが、シートベルトがちゃんとできるようになっているクルマは半数以下だ。ボクの経験からは2〜3割といったところか。しかし現実には、よっぽど古いタクシーでないかぎり、シートベルトは後ろの席にも装備されている。最近はほとんどが2人分の3点式と、真ん中の席用の2点式のセンターベルトが標準装備になっているのだから。
 では、なぜできなくなっているのかというと、そのほとんどがバックルをシートクッションとシートバックのすきまに押し込んでしまい、ベルトはあるが留め金がないのでできないという状況なのだ。せっかくシートベルトがついているにもかかわらず、その機能をタクシー会社か運転手さんが使えなくしているのである。
 そんなとき、後ろの席でもシートベルトをしようと努力するボクとしては、行き先を告げた後、バックル探しを開始する。お尻の後ろのすきまに手を突っ込んで、ゴソゴソとやる。ほとんどの場合、手のひらまで入れなくても、指を全部入れる程度で見つけることができる。そこでやれやれとシートベルトをすると、それはセンターベルト用のバックルで、タング(ベルト側についている金具)が入れられない。そこでもう一度、指の捜索隊がゴソゴソと活動を始める。指がほこりで汚れたなあと思うころ、再びバックルを見つけて、やっとシートベルトをすることができた、と思ったら「お客さん、着きましたヨ」という運転手さんの声。これでは何をやっているんだか、わからなくなる。
 バックルが出ていると邪魔だとか、お尻に当たって痛いとか言うお客さんが、よっぽど多いのだろうか。
 最近のタクシー専用車には、シートバック側にバックルのホルダーがついているクルマも出てきた。この場合はすきまに指を突っ込んで探さなくても済む。
 こんな例もあった。地方に行ってタクシーに乗ったら、久しぶりにちゃんとバックルが出ているクルマに出合った。これはよかったと、すぐにシートベルトをしようと思ったら、なぜかベルトが出てこない。なんと真っ白いシートカバーがシートベルトの上からかぶせられていたのだ。シートカバーを外すか、シートベルトを無理やり引っ張ってシートカバーを切ってしまうしか、ベルトをする方法がない。残念ながらこのときはシートベルトをするのをあきらめた。


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