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息吹
・新しい取り組み・新しい試み・そして新しい人・・・

物流の
トータルサポートを実現

−三菱ふそう
トータルサポートシステムの開発−

写真:木村 文則 木村 文則
〔三菱自動車工業株式会社
 トラック・バス総括本部
 トラック・バス商品企画部 次長/参事〕

写真:平山  滋 平山  滋
〔三菱自動車工業株式会社
 トラック・バス販売本部
 トラック特販第二部 グループ次長/主席〕

■自由に意見を出し合ったワーキングチーム
木村 この物流サポートシステムの開発にあたっては、当社のトラック営業部、特販部、サービス部、商品企画部、商品開発室、電子技術部、三菱自動車エンジニアリング(株)、(株)リョーインから各1名ずつ参加したワーキングチームで取り組んできました。
平山 生産、技術、販売を含め、トータルで見ないと市場ニーズもわかりませんし、職制でがっちり固めるより、自由に意見を出し合えるワーキングチームのほうが、よりユーザーサイドに近いものがつくれるのではないかという発想だったのです。

■ニーズにマッチしたシステム
平山 これまで、物流サポートシステムは費用がかかるため、大手の輸送会社しか導入できませんでした。私は流通業を担当していたので、物流事業者や業界団体とのおつきあいも多く、以前からこうした課題に対する要望は聞いていました。
 トラックメーカーである私たちが、トラックを使っていただいている物流事業者の方々にこのようなシステムを提案することによって、お役に立てればと思いました。世の中のニーズを吸収できるようなキャパシティを持ったシステムということで、最初は小さく産んで、ニーズに応えながら徐々に大きく育てていけるベースをつくりました。はっきり言って、スタート時点では50点でいいと思ったのです。

■トータルサポートシステムとは
木村 大きく分けると「運行管理」「輸送品質管理」「車両管理」の3つがあります。運行管理ではGPSを使って現在地・軌跡・走行情報や稼働情報が、輸送品質管理では運んでいる“モノの情報”がわかります。冷凍車の中身、温度、ドアの開閉状態などです。例えば現金輸送車では、無事に動いているか、また襲われた場合は現場の画像も映るなど、リアルタイムでさまざまな情報が送れます。
平山 トラックは積み荷が大切ですから、車体後部の情報を得ることによって、メンテナンスや積み荷の品質確保に応用できます。どのような状態で運ばれているかがわかれば、運送業者はきちんと配送されていることを荷主にアピールでき、消費者も安心できると思います。
木村 車両管理では、エンジンオイルがない、水温が上がっているなど、車の状況が把握できます。取り付けるセンサーによってメンテナンスや点検管理など、整備関係の情報も提供できます。
平山 われわれは「予防整備」と言っていますが、壊れてから修理するのではなく、事前に整備することで最終的にランニングコストが低下します。管理というより、データに基づいた低燃費運転の指導などにつながるのではないかと思います。
木村 特徴的なのは、ウィンドウズCEというソフトを使うことによって、ソフトの書き換えでお客様の要望に対応できることです。カスタマイズしてバージョンを上げる場合に、管理センターから逆送信して車載機のプログラムを変えることもできます。もうひとつの特徴は、通信にNTT DoCoMoのDoPa*とインターネットを使っていることです。DoPaは近ごろ携帯電話に採用され始めましたが、データ量によって料金が設定されているため、長時間つないでおいてもデータを送らないかぎり料金はかかりません。またDoPaはパケット方式(データを小包のように分割して送信)のため、セキュリティ面でも信頼がおけます。
 このシステムを実際に稼働させるには、ドライバーの方が、デジタルカメラに使っているものと同様のコンパクトフラッシュカードを車載コンピュータに差し込んで、通常通り仕事をしていただけばいいのです。カードが差し込まれると、情報がDoCoMoの基地局から10秒間隔で管理サーバーに送られます。従来は携帯電話でのやりとりだったので、トラック40台ぐらいが限度でしたが、100台でも200台でも大丈夫です。お客様は事務所のパソコンを通じてインターネットで見てくださればいいのです。従来の半分以下のコストで運用できると思います。

*DoPa(ドゥーパ):接続時間や距離に関係なく通信データ量に応じて使用量が課金されるパケット通信。
1パケット=128バイト。送信したデータ量を月ごとに合算して128バイトで区切り、パケット数に応じた金額が通信料となる。

■大変だったこと、これからの課題
平山 思い切って車に重点を置いて、ハードに頼らずソフトでフォローすることで、市場価格の3分の1を目標としました。ランニングコストを下げるのにたいへん苦労しました。
 また、ワーキングチームはさまざまな部署からの寄せ集めだったので、まとまるまでに半分けんかのような場面もありましたが、できあがってみれば良い思い出です。仲はいいのですが、切磋琢磨し合える雰囲気が良かったと思います。
 さて形はできました。しかし、お客様にどう理解していただくか、購入後のフォローやシステムの進化についていくための車の技術開発も継続しなければなりません。大変なのはこれからだと思います。

■仕事、そして個人として大切にしていること
木村 私は少し前までバス担当の商品開発におりまして、公共交通、人にやさしいバス、高齢社会のなかでバスがどうあるべきかを考えてきました。高齢ドライバーが楽に運転できる車、高齢者が利用しやすいバスを、自分がいるうちにいい形にしておきたいと思います。世の中に役立つ仕事に携わることができて、本当に良かったと思っています。
 最近は運送ドライバーの層を広げて全体的に物流価格を下げようという動きもあります。女性も含めていろいろな層の方がドライバーになれるように、だれもが運転しやすいトラックをめざしています。私のポリシーは「人の命はだれにもつくれない」ということで、“安全”をまず第一に優先しています。
平山 私たちは往々にして守りに入ってしまって、世の中の動きに少し鈍感なところがあります。私は、エンドユーザーの動きをとらえ、できるだけニーズに近づけるような販売・サービス体制を構築すること、市場ニーズを的確にとらえて開発にフィードバックすることを心がけています。
 個人的には、人の言うことを頭から信用しないで(笑)、いろいろな意見があるでしょうから、同じことでも必ず2〜3の意見を聞いたうえで決めるようにしています。また、これで「完成」ということはないと思うので、暇にしないということも心がけています。変わり者と言われても、自分の発想は持っていたいですね。

(きむら ふみのり/ひらやま しげる)

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