JAMA 一般社団法人日本自動車工業会Englishヘルプサイトマップ   
自工会の概要リリース/会見データファイルライブラリー
ホーム > ライブラリー > JAMAGAZINE > 2000年10月号

特集・都市と自動車交通
新しい交通システムの開発・提案 (1) ヤマハ発動機

電動ハイブリッド自転車の普及と
「共用利用システム」

小粥 雅徳〔ヤマハ発動機株式会社 PAS事業部〕

●はじめに
 ヤマハ発動機は1993年に、電動ハイブリッド自転車「ヤマハPAS」の開発・市場導入で世界の先鞭をつけ、「クルマとの上手な使い分け」をこの車両の社会的価値軸として、広くご提案させていただいた。すでに一般普及型商品としての位置づけを得て、国内での累計販売実績は約50万台を数える。
 自動車や二輪車が、今後も道路交通の中心であり続けると想定されるなかで、「地域内交通のためのパーソナルビークル」としての有力な担い手をめざしてきた過程で、さまざまなお客様による「共用利用」のスタイルが増加しつつある。
 この「共用利用」は「より賢いクルマ利用」をめざした生活者の知恵によって、自然派生的に生じてきたものであり、この傾向は「共用利用の使い勝手を向上させるシステム化」をサポートすることにより、現実性の極めて高いPPVS(Public & Personal Vehicle System)のひとつの形として、より普及・定着化が期待できるものと考えている。
 以下、電動ハイブリッド自転車の「共用利用」の実態や今後の課題等を紹介する。

図1 システム概要図
図1

1.電動ハイブリッド自転車とその普及
 電動ハイブリッド自転車とは、その名のとおり、人力と電気動力を融合させて推進力を発生させるシステムを有する自転車である。駆動システムは、運転者がペダルを回転させる力をセンサーが検出し、その力の大きさと車速に応じて制御された電力がバッテリーからモーターへ供給されることによってモーターの駆動力が発生する仕組みであり、電気モーターが独立して駆動力を発生させるものではない。
 電動ハイブリッド自転車は、自転車の軽便さを生かしながら、上り坂、向かい風、積載時などに運転者の体力的負担が大きくなるという自転車の基本的な弱点を軽減させる基本機能が評価され、初期需要の高齢者層から、最近では30代のヤングミセス層への広がりをみせる形で普及してきた。
 業界全体での累計国内出荷台数は今年度中に100万台に達する見通しであるが、1ケタの世帯普及率や、一般自転車の保有台数が7,000万台という数字を考えると、まだまだ普及の緒についた段階で、本格的な拡大はこれからと言えよう。

2.「共用利用」の増加と事例
 電動ハイブリッド自転車の需要の大半は個人のお客様であるが、普及の進展とわれわれの企画プロモーションが相まって 法人・職域でご利用いただけるケースが目立つようになってきた。個人所有ではないということで、広義での「共用利用」と言えるものである。
 以下、いくつかの「共用利用」事例をご紹介する。
■都市部の外交業務に導入した都市銀行
 都市部での営業業務車両を軽自動車から電動ハイブリッド自転車主体へと構成比を大幅に切り替えていただいた。都市部における外交業務での渋滞回避、駐車の容易性などによる移動効率(業務効率)、車両代、維持費等の経済効率に加え、クリーンなイメージも採用いただいた理由である。
■宅配サービスを行うコンビニエンスストア
 宅配用車両として、これまでのスクーターに加えて三輪タイプのPASを採用していただいた。これも自転車用スペースを利用できることによる都市部でのフットワークの良さや、運転免許不要で主婦のパートタイマーなど従業員のだれもが利用できる利便性に対する評価を得ている。
 このほか、郵政局の外交業務用、新聞配達、介護保険制度に伴う介護士の訪問介護用の移動手段などにも採用していただくケースが増えつつある。
 いずれも、一定エリアの地域内交通手段として、「クルマの上手な使い分け」志向のなかで、最適移動具として選択していただいているというのが実情と言える。
■地球環境対策としての官庁・自治体の共用利用
 霞が関中央省庁においては、地球温暖化防止対策の一環として自転車の有効利用を率先垂範されることとなり、霞が関界隈の中央官庁街をロケーションとした地域内交通手段として、一般自転車とともに数十台の電動ハイブリッド自転車の共用利用が開始されている。
 また、複数の省庁の行政施策として「自転車の有効利用の促進」「自転車の乗用環境の整備」など、いわゆる「バイコロジー(バイシクル・エコロジーを略した造語)施策」が打ち出されたこともあり、地方自治体においても自転車及び電動自転車の有効利用に向けた施策検討や計画が相次いでいる。地方自治体 が職員の公用車両として自転車・電動自転車の「共用利用」を開始された事例はもはや珍しいことではない。
■共用利用の元祖・レンタサイクル
 車両の共用利用の代表的な存在と言えるが、国内におけるレンタサイクルは、事業拠点数600余、車両台数7万台程度が稼働していると想定される。特に、観光・リゾート地におけるレジャーや散策の手段として定着しており、最近では練馬区などで実施されている通勤利用向けの都市型レンタサイクルも注目されている。
 当社では、こうした観光・リゾート地でのレンタサイクルとしてPASの普及に努めており、軽井沢、京都、鎌倉など全国の主要観光スポットで約1,000台程度ご利用いただいている。“自動車で来て、自転車で散策する”「パーク・アンド・サイクル・システム」として、観光地の渋滞対策、環境対策としても歓迎されている。


──────

← 前へ 7/19 次へ →

Copyright (C) Japan Automobile Manufacturers Association, Inc.