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3.“街角充電スタンド”構想
図2 “街角充電スタンド”
図2
 少し脈絡が外れるが、当社では電動ハイブリッド自転車利用の利便性を向上、あるいは将来的な共用利用の普及を図るための一環として、群馬県・軽井沢と当社の地元磐田市内に「電動ハイブリッド自転車用充電スタンド」を試験的に設置している。社内では“街角充電スタンド”と呼んでいる。
 軽井沢では、レンタサイクルのサイクリングルート上のプレイスポット2ヵ所を設置場所とし、サイクリングでテニス、貸しボート、昼食などを楽しんでいる間に充電していただく設定で、好評を得ている。
 また、磐田市では、市内の代表的なショッピングセンター、スーパーマーケット2店の協力を得て、それぞれの駐輪場内に設置させていただき、年間で延べ6,000人程度の利用が見込まれている。
 ガソリンスタンド的な補充電のためのインフラは、電動ハイブリッド自転車の利便性向上はもちろん、車両積載電池容量の軽減等にもメリットをもたらすものであるが、具現化は容易ではない。
 現状、電動ハイブリッド自転車の電池は、24V/5〜7Ahの形式・容量が用いられており、フル充電した場合に要する電力料金はわずか10円程度。
 “売電ビジネス”としての充電スタンドは、得られる事業付加価値が小さいゆえに、事業成立の絵が描き難いという問題が残されている。
 しかし、電動ハイブリッド自転車の特性を踏まえたアプローチに徹することで、具現化の可能性は十分にあるのではないかと考えられる。
 そのひとつには、「地域内交通」の基本コンセプトの下に、電動自転車の一般的な行動範囲と思われる半径15km程度のエリア単位のアプローチをベースとすること。
 もう1点は、充電スタンドを“売電ビジネス”としてではなく、住民サービス、顧客サービス、顧客誘導策として、官民事業者等のサービスメニューとして位置づけたアプローチとすること。いわば喫茶店のオシボリサービスにも似た、“電気を自由にお使いください”というスタイルである。
 いずれも全国区でのスタンドネットワークを志向したら、何も始まらない・始められないおそれがある。ともあれ、4ヵ所の“街角充電スタンド”は、間もなく1年間の試験期間を終了することから、必要な改良を加え、順次、拡充を図りたいと考えている。

4.マンションにおける共用利用システム
 電動ハイブリッド自転車の共用利用形態で、今後に向けて注目しているのがマンション等共同住宅における共用利用で、当社のPASをご採用いただいたケースとして関東圏で数件の事例が発生している。
 いずれも、都市部のマンションで、「各世帯が個々に自転車を所有することで駐輪場のスペースが足りない」「自転車の盗難が心配」「丘陵地なので自転車では不便」などの問題の解決策として、電動ハイブリッド自転車の共用利用が導入された。利用頻度の高い子ども、学生用の自転車は別として、主婦の買い物や家族の小用目的には「共用自転車」を利用することとし、導入された車両は世帯数等によって5〜15台といった台数となっている。
 この共用利用システムでは、各世帯にICカードが配布され、カードにより鍵の貸し出し、返却が自動管理されるとともに、利用実績を管理して費用分担の事務処理が容易にできるシステムを組んでいる。
 駐輪場は、自動ロックの盗難防止装置付き駐輪ラックに充電用のプラグが配線されており、いわば、「充電スタンド付き駐輪場」というものである。
 これらのシステム装置は、駐輪機器専門メーカーの製品をベースに共用利用の利便性を考慮した改良を加えたものを組み合わせて構成したものである。
 共用利用システムの効用、成果については今少し追跡調査を要すると思われるが、都市部における地域内交通としての自転車の有効利用といった側面だけでなく、四輪の駐車場はおろか自転車駐輪場のスペース効率まで問われる都市の住環境面から、また、リサイクルと並行してリデュースへの取り組みが求められる省資源問題の側面などからも、たいへん意義あるもの言えるであろう。

5.ソーラー発電の組み合わせでCO2ゼロへ
図3 I.F.E.S.システム図
図3
 電動ハイブリッド自転車は、他の2次電池を用いた電動車両と同様に、地域環境への貢献とは別に、火力発電への依存に起因しての低公害性に関する評価がある。
 そこで「ソーラー発電による充電スタンド」が自然に発想され、当社においても社内施設として小規模なものをすでに稼働させている。これには経済メリットに優先した環境を意識した象徴的な取り組みとして、いくつかの地方自治体からも関心が寄せられており、近々にも同システムの導入事例が登場するものと想定しているところである。地域住民に対して、地球環境と地域環境に関する意識啓発を図るモデルプランとして、たいへん意義あることと考えている。

6.I.F.E.S.の開発と「共用利用システム」普及への可能性
 電動ハイブリッド自転車の共用利用システムや、充電インフラの普及を図るうえでの課題として、車両メーカーが用いる電池の種類と充電器相互のインターフェースの問題がある。電池の種類はますます多様化する様相にあり、性能・特性も日進月歩で進化し続けているが、メーカー間での電池と充電器の互換性は現在のところない。
 電動ハイブリッド自転車は、その商品特性もあって、軽量・コンパクト・低コストながら容量を追求した電池を搭載し、かつその電池の能力を最大限に引き出すことが要求されることから、採用する電池の種類・性能・特性に応じた緻密な充放電制御を駆使することとなる。
 当社では、こうした点が電動ハイブリッド自転車の電源関係のインターフェース確保の阻害要因になり続けると考え、その対策の一環としてI.F.E.S.(Intelligent & Flexible Energy System)と称するバッテリー・マネジメント・システムを開発した。
 この技術システムはすでに発表され、製品化もされていることから、詳細の説明は省略するが、概略の機能特徴は次のとおりである。
 バッテリーボックスに内蔵したBMC(バッテリー・マネジメント・コントローラー)が、電池の種類と、常に変化する電池の状況(電流・電圧・使用頻度・使用状況・電池温度など)を逐次検出。その情報は、ICメモリーのデータをもとにCPUにて演算処理し、最適充電要求特性、最適放電要求特性を決定。それぞれ充電器及び車両コントローラーへインフォメーションされ、それに呼応して電池の状況に応じた最適充放電を実現するものである。
 また、ニッケル系2次電池に不可欠なリフレッシュ充電を自動的に実施させる機能や電池の自己診断機能を有していることから、利便性の面でも極めて高い効用を発揮している。
 このシステムの最大の特徴は、採用する電池の種類、特性など、個々のメーカー及びユーザーの自由度を尊重したうえで、利用場面でのインターフェースを高次元で確保できることにある。電動ハイブリッド自転車はもちろん電池を用いる小型電動車両を含めて、電源部の相互活用や、充電インフラの共用が可能となる有力なシステムと考えられている。
 すでに、複数のメーカーにI.F.E.S.を含めたシステムユニットをご利用いただく形で広がりを見ているが、「小型電動車両の普及振興のための技術ソフト」として、さらなる広がりを期待しているところである。

(おがい まさのり)


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