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■西欧乗用車市場も6%前後減か

 西欧もアメリカとよく似た状況にある。93年(1,145万台)を底として99年(1,507万台)まで6年間一本調子に伸びてきた。ただ、異なる点は、その山は30年間で1回限りであったことだ。あと70年代、80年代は、ほぼ横バイの浮沈であった。だから、アメリカのような産業リズムは、まだ形成されていない。
 それでも、国によっては飽食現象が起きている。例えば、西欧第1の自動車国ドイツをみよう。ここは、人口1,000人当たり保有台数が、94年に530台の大台に乗せて以来、それが3年間続き、97年、98年には540台の大台に乗せ、99年に558台となった。アメリカと同じく頭打ち症状を呈している。
 西欧の場合、アメリカと異なる点がもうひとつある。東欧への“逃げ口”が容易なことである。主な会社の東欧への進出工場(エンジン・トランスミッション工場を含む)は、次の通りである。
 VW=9工場、GM=4工場、フィアット=3工場、ルノー=3工場、PSA=2工場、フォード=2工場、スズキ=1工場、BMW=1工場、トヨタ=1工場
 このうち、ルノーはモスクワ工場を建設中、大衆車生産をめざす。トヨタは、上記以外にPSAと合弁工場を新設する。
 調査会社マーケティング・システムズ(MS)とワールド・マーケット・リサーチ・センター(WMRC)の2社は、この中・東欧地域の自動車販売(対前年比)を、表4のように予測する。


 両社は、いずれも世界の地域別販売予測で、この地域を最高の成長率とみている。とくにこの地域はかなり質の高い低賃金労働力を利用、他の途上国向けに小型廉価車を生産しうる。世界中の企業もそこを狙っている。その意味ではいつまでも西欧自動車企業の金城湯池ではありえないだろう。
 ただ目先の西欧市場をみると、2001年は順調だった。第1四半期(1Q)こそ対前年比4.9%減だったが、2Qは1.4%増、3Qは2.2%増、そして4Q(但し10〜11月)が5.8%増(ACEA:欧州自動車工業会調べ)だった。
 この好調が2002年も続くとみるのはやや無理であろう。理由は、前述の“ドイツ現象”が起こるからなのである。良くて6%減であろう。
 ただし、2003年には回復しよう。ユーロ通貨の浸透により、同一モデルの国別価格差が周知される。安い価格のモデルに流れるか、メーカー側が価格を引き下げるだろう。ために2003年は対前年比6%程度増加する公算が高い。

表4 中・東欧地域の自動車販売予測(対前年増加率)
単位:%
調査機関
車種別
2002年
2003年
MS
乗用車
11.7
12.0
商用車
10.1
9.1
WMRC
乗用車
1.7
6.4
商用車
1.6
10.9
注:MSはMarketing Systems、
  WMRCはWorld Markets Research Centerの略。

■日本市場の救命ボートは?

 冒頭で、2002年世界の自動車市場は対前年比5%前後の減少になり、世界三大市場のうち北米、西欧は不振が予想されるとした。
 それでは、日本は勝ち組として残るのか、負け組になるのか。2001年自動車販売実績は591万台であった。これは対前年比0.9%減である。絶対値にして、過去10年間で最後から3番目の低水準であった。まだ危険水域を脱出していない。
 その“救命ボート”として、どんな要因があるか。当面、4隻のボートが用意されている。
 第1は、乗用車の平均使用年数(人間の平均寿命に相当)がついに10年を突破したことである。過去最高である。小型乗用車が10.61年となり、大型トラックが12.26年になった。アメリカは2000年時点で、乗用車が8.3年、商用車は6.9年である。アメリカより車が古くなっている。ということは、日本では、12年、15年の車を運転せざるをえない人がかなりいることになる。事情さえ許せば新車に手を出したくてウズウズしている人がかなりたまっている。
 第2は、政府の税制による刺激である。新車登録から11年を超えるディーゼル車と13年を超えるガソリン車には、自動車税を10%重くすることに改めた。排出ガス防止の視点からである。排気量1500ccから2000cc以下の自家用乗用車には3万9,500円の自動車税がかかるので、10%の重課がかかれば4万3,450円となる。これでは、結局は新車に買い替えざるをえなくなるユーザーも出てくる要素となろう。
 第3は、その逆としての軽減税(グリーン税制)である。ここでは詳細な説明は省くが、たとえば☆☆☆車(超−低排出ガス車)は自動車税の軽減率50%といった恩恵である。当面は2年間である。しかも低燃費車だから、ユーザーにとって、燃料費も安くつく。二重のメリットである。
 第4は、そうした低燃費・低排出ガス車優遇策に刺激されて、新型車もしくはマイナーチェンジ車の発売が活発化してくる。もちろん、新型車の場合、最重点を置くべきは、デザインと価格と品質である。☆☆☆車だからといって、それだけでは買う意欲はわかない。車というのは、一目ぼれこそ重要な購買エネルギーになる。そのエネルギーを創出するのは、メーカー自身なのである。
 以上の4点が、今年の販売水準を浮上させる主力救命ボートである。ただ、その足を引っぱる要因もかなり多いことはいうまでもない。
 日本自動車工業会は、2002年国内需要見通しを対前年比0.7%減の588万台と発表した。仮に0.5%減としても大同小異だから、これはまず妥当な予測線であろう。本当は、600万台を超えないかぎり、活況感はない。日本市場は、もうその水準に戻ってもいいタイミングにきている。

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