3.低公害車の普及と導入目標
1)低公害車普及の現状
低公害車(ハイブリッド自動車、天然ガス自動車、電気自動車など)は、現在、軽自動車からトラック・バスまで、商品構成も充実しており、約50車種が販売されている。保有台数は2001年末で約10.6万台となっている(図4)。
天然ガス自動車や電気自動車の導入は、地球温暖化抑制に有力な方法のひとつであるが、航続距離や燃料供給設備の問題など、多くのハードルがあることから、それぞれの長所を生かせる用途の開拓や、使用する地域を絞って普及させるといった工夫が必要となる。例えば電気自動車は短距離の連絡用や小型軽量の貨物運搬などが、また天然ガス自動車は集中管理の商用車、路線バス、ゴミ収集車などが有力と考えられる。
2)低公害車購入拡大のために
現在の低公害車の多くは、生産台数が少ないこともあり、価格が高く、普及拡大は容易なことではない。このため、政府などによる率先大量導入や、事業者・個人の購入に際しての思い切った助成が有効と考えられる。
低公害車の購入費補助、取得税の軽減といった施策は、普及拡大を後押しするものとして期待される。
また、低公害車を普及させるためには、その開発・導入と同時に、電気や天然ガスなどの燃料供給インフラ(エコ・ステーション)の整備推進が求められる(図5)。
3)低公害車の普及目標
2010年度燃費目標の達成車を含めた低公害車の普及に関しては、経済産業省、国土交通省、環境省の3省が作成した『低公害車開発普及アクションプラン』(2001年度)のなかで、以下の将来目標が掲げられている。
・実用段階にある低公害車については、2010年度までのできるだけ早い時期に1,000万台*2以上の普及をめざす。
*2LPG自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車と、それに加えて「低燃費・低排出ガス車」(ガソリン・ディーゼル)が対象。
・燃料電池車については、2010年度において5万台の普及を図る。
また、総合資源エネルギー調査会により、2010年の低公害車(クリーンエネルギー車)導入についての目標が掲げられており(表1)、それに向けて官民一体となった最大限の努力が求められている。自工会としても新大綱で示された低公害車普及によるCO2削減目標(330万t-CO2)の達成に向けて、さらなる技術開発や車種の拡大等に努めていく。
表1 総合資源エネルギー調査会の導入目標
(単位:万台)
LPG自動車(ディーゼル代替)
|
26
|
天然ガス自動車
|
100
|
ハイブリッド自動車
|
211
|
電気自動車
|
11
|
| 合 計 |
348 |
図5 エコ・ステーション
4.交通流円滑化等によるCO2低減
1)ITSの推進
ITSは、情報通信やエレクトロニクス技術などを使い、安全・円滑・快適な交通環境を実現するとともに、輸送効率の向上をめざす国家的・総合的プロジェクトである。
この導入により、30年後に国内で交通渋滞を解消し、さらに自動車の燃料消費量とCO2をそれぞれ約15%削減することを目標に開発が進められている(このほかに現状の交通死亡事故半減、都市部でのNOxの約30%削減などの目標がある)。自工会及び会員各メーカーでは、今後も国内外の政府や関係団体・メーカーと連携して、ITSを活かしたモビリティ最適化のための開発と提案に、積極的に取り組んでいくこととしている。
2)省エネ運転の普及・PR活動
自工会は、新聞、雑誌、ラジオなどのメディアを中心にした啓発活動や、エコライフフェア、省エネ展など各種のイベントへの参加を通じ、省エネ運転をユーザーの方々に理解していただくための活動を積極的に展開している。
3)自動車の環境情報の提供
自工会では、少しでも環境負荷の少ない自動車を購入したいというユーザーの方々の要望に応えるため、会員各社が現在販売している自動車(乗用車・商用車・二輪車)について、その比較・選択のための車種別情報をホームページ*3上で紹介している。
*3自工会ホームページ「クルマと環境/車種別環境情報」(http://www.jama.or.jp/eco/)
4)調査・研究・提言活動
自工会は、これまでにいくつかの交通流円滑化対策の調査研究を行ってきている。それらに基づいて、温暖化対策として有効な方策を提案してきており、今後もこうした提言・要望を継続していくこととしている(過去に実施された研究のデータを用いて各種対策によるCO2削減効果をシミュレーションした結果を、18〜19ページで紹介する)。
5.工場における温暖化対策
1)産業部門の取り組み
新大綱では、運輸部門、民生部門と並び、産業部門での取り組みも対策の柱として掲げている。その内容は前述したように、経団連の『環境自主行動計画』の実施と省エネ法の工場対策である。
この『自主行動計画』は、各産業が自らの判断で行った、まったくの自主的な取り組みであり、それぞれの業界が現時点で最善と思われるぎりぎりの内容をとりまとめたものである。
また『自主行動計画』は、省エネルギー対策によるCO2削減量の3分の1を占め、環境と経済の両立をめざす大綱の中心的な役割をなすものとして、これまでに大きな成果を上げてきている。
自工会も、自主行動計画を策定しており、温暖化対策はもちろん、廃棄物対策、有害化学物質の削減等についても取り組みの計画を発表している。
2)工場における省エネルギーの強力な推進
自工会の自主行動計画では、自動車工場からのCO2排出量削減を掲げており、その目標である「2010年度のCO2排出量を90年度より10%低減する」ことを達成するため、自動車メーカー各社では、次に掲げる省エネ活動を推進している。
・エネルギー供給面での対策(コジェネの導入等)
・エネルギー使用・管理技術の高度化
・使用材料の歩留まり向上
・エネルギー効率の高い生産工程設計
自動車の生産工程におけるCO2排出量は、90年度で759万t-CO2、2000年度で625万t-CO2と着実に減少してきており、2010年度の目標値は90年度比10%減の683万t-CO2としている。
なお、自主行動計画を実施しない場合は871万t-CO2であり、90年度比15%増となる(図6)。
自工会会員各メーカーでは、地球温暖化対策以外でも、廃棄物の削減と無害化、大気汚染物質の排出抑制などについて、継続的かつ積極的に取り組んでいる。
3)国際規格に沿った環境管理の推進
国際環境規格のISO14001環境マネジメントシステムは、経営者方針の達成活動、環境監査システムなどにより、組織の環境改善を進めるためのシステムの規格であり、96年に、ISO(国際標準化機構)によって制定されている。
自動車メーカーではISO14001の認証を取得し、環境管理体制を整備するとともに、継続的な環境改善を推進している。
図6 自動車の生産工程からのCO2排出量推移
6.おわりに 〜自工会の取り組みと要望
環境を改善していくためには、自動車単体の改善とともに、交通対策やユーザーの使用方法の改善といった三位一体の取り組みが必要であり、施策を実施する上では規制と自主取り組みとインセンティブをうまく組み合わせることが効果的と考える。
先に述べたように、自動車業界は、自動車単体燃費の厳しい目標に対し、トレードオフの関係にある排出ガス規制も踏まえつつ、その達成をわれわれの責務と認識し、最大限の努力を続けている。また、自動車工場からのCO2削減の自主行動計画推進に関しても積極的に取り組んでいるところである。
さらに、低公害車の普及促進についても、車種拡大やコスト低減などに努力しているが、目標達成のためには購入補助とともに、燃料インフラの整備など、一層の普及策が求められる。
また、運輸部門の大きなウエイトを占める交通流対策については、政府が早急に取り組まなければならない課題であり、京都議定書の目標達成に向けての重要なカギになると思われる。着実な推進をお願いしたい。
(じこうかい かんきょうとうかつぶ)