JAMA 一般社団法人日本自動車工業会Englishヘルプサイトマップ   
自工会の概要リリース/会見データファイルライブラリー
ホーム > ライブラリー > JAMAGAZINE > 2002年12月号

3.特許を利用した企業内ベンチャー、企業内インキュベーションへ

 企業内の発明に、大学の発明が加わり、企業にとってのビジネスチャンスは広がった。今後は、ビジネスをいかに育てるかだ。具体的には、発明者自身が特許を利用した企業内ベンチャーを起こせるような仕組みを作ることだ。それは発明者自身の自立を促す。そしてそのベンチャーを順調に育成すべく、企業内インキュベーション・システムを立ち上げるのだ。
 ここでまずインキュベーション(Incubation)について説明する。直訳すると「孵化」、つまり卵をかえして雛にすることを意味する。しかしここで言っているインキュベーションとは、企業を生み出すという意味である。わかりやすくするためビジネス・インキュベーションと言う場合もある。
 日本で行われているインキュベーションは、国が中心となり各地に建物を作ることから始まった。従ってインキュベーションの一般的な形態は、レンタル・オフィスという形態が多かったが、企業を支援するインキュベーション・マネジャーがいるオフィスも増えてきている。日本を代表するインキュベーション施設として、10年以上の歴史を誇る神奈川サイエンスパークがあり、現在78社が入居している。
 もともとインキュベーションは米国で始まった。不動産業者が建物に入居した企業のビジネス支援をしたことがきっかけとなっている(星野敏著「よくわかるビジネス・インキュベーション」同友館より)。入居企業が家賃を支払えなくなっては困るからである。
 日本新事業支援協議会(JANBO)の調べによれば、日本のインキュベーション機関の数は97(非営利75、営利22)ある。これに対し、米国は850、ドイツは300である。国民1人当たりに直すと130万人対31万人対27万人である。日本が米国、ドイツに追いつくためには数で400のインキュベータが必要となり、目標数となっている。
 このインキュベーションの考え方を、企業のなかで実行しようとするのが企業内インキュベーションである。今、社内ベンチャー制度のある企業が取り組んでいる一番多いパターンが、資金的な支援と場所の支援である。しかしインキュベーションという考え方に基づけば、それだけでは十分ではない。会社を経営していくためにはさまざまな知識が必要である。
 例えば、事業計画を立てたり、製品開発をしたり、販路開拓をしたり、また細かいことでは製品のカタログづくりなどさまざまな取り組みをしなければならない。とてもベンチャーの社長ひとりでは解決できない問題である。幸い社内には多くの人材がおり、多数の経験者がいる。そのような人たちを支援に活用し、社内インキュベーションのシステムを作るのである。これにより社内ベンチャーが今まで以上に増加することが期待される。

4.ベンチャースピリットの乏しい日本人

 ここに興味深いデータがある。起業活動の活発な国ほどGDP伸び率が高いのである。GEM(Global Entrepreneurship Monitor=国際的起業家調査)によると、起業活動とGDP伸び率(2000年)には相関がある。半年以内に創業予定の人や創業42カ月以内の会社に勤めている人の割合が高い国ほどGDP伸び率が高いのである。米国や韓国は顕著に現れている(図4)。残念ながら日本は、創業間もない会社に勤める人が極端に少なくGDP伸び率も低い。この結果から、創業関係者を増やすこと、すなわち起業家を増やすことが国のGDP伸び率を押し上げることになるのである。
 少し古いデータではあるが、90年から96年までの企業の開業数は米国の93万社に対し、日本は14万社にとどまっている。
 大切なことがある。なぜ韓国の起業活動が活発であるか、ということである。97年、韓国は国家経済が破綻し多くの失業者を生み出した。小学生が昼食を取らず勉強し、失業したサラリーマンは勉強のため図書館へ殺到したそうである。これほどの状況になったからこそ起業するしか生きる道はなかったのである。韓国人は追い込まれてベンチャースピリットを身につけた。日本人も日本経済が停滞している今こそ、ベンチャースピリットを身につけ、新しいビジネスを生み出し、起業するチャンスであろう。

図4 世界各国のGDP成長率と起業活動の関係(2000年)

出所:Global Entrepreneurship Monitor、OECD、IMF資料より大和総研作成。

──────

← 前へ 4/13 次へ →

Copyright (C) Japan Automobile Manufacturers Association, Inc.