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4.複数保有が乗用車市場に与える影響

●経済性・安全性等付加価値重視へ
 複数保有世帯で、現在持っている車を買ったときの重視項目と、その車を代替えする場合の重視項目を比較してみた。この比較の意味は、複数保有世帯での車種選択の「現在と未来」の重視項目の比較との置き換えにある。
 まず今後代替えする時に重視したい項目は、現在の持っている車に比べて、「車両価格」62.0%、「燃費の良さ」27.5%、「安全性」19.9%、「環境対策」6.4 %等となっている。
 一方「スタイル・外観」34.8%、「大きさ・幅」8.3 %、「小回り・取り回しの良さ」9.0 %などは、重視度が低下する傾向にある。
 複数保有世帯に対して、単数保有世帯での傾向をみると、これも「車両価格」65.8%、「燃費の良さ」25.7%、「安全性」21.7%、「環境対策」 5.7%の順となっており、複数世帯同様、経済性・安全性・環境対策といった付加価値に対するニーズが高まりつつあるようだ(図8)。

(図8)単数保有世帯と複数保有世帯における今後の代替えニーズ
fig.4

●夫婦のみ・子有り・妻就業世帯で拡大
 いままでの結果を生活者セグメント別に整理し将来動向を描いてみる(表4)。ここで将来大幅な拡大がみられそうな層は、次の層である。

  1. 20代以下子有り妻就業世帯
    現在保有率は44.4%であるが、今後も働く女性の免許保有率の拡大等から複数保有も大幅に拡大するだろう。
  2. 30代子有り妻就業世帯
    現在でも保有率は45.1%と高く、2台目は妻の通勤用として活用されているが、今後も女性の免許保有率の上昇等で拡大する。
  3. 60代夫婦のみ世帯
    現在は6.7%の複数保有率と低いが、今後はこの世代が加齢とともに増加する世代効果に加え、高齢女性の免許保有者の増加等により大幅に拡大するとみられる。

 以上大幅に複数保有が拡大しそうな層は、いずれも、女性が押し上げ要因を持った、いわば複数保有化牽引層といえよう。この他、20代以下と30代・40代夫婦のみ、30代子有り妻非就業、40代子有り妻就業、各世帯でも拡大傾向にある。

表表4 生活者セグメント別の複数保有の動向

●これからの乗用車選択は質的に変化する
 いまの複数保有の拡大が進行する中で、車種選択要因は、着実に質的変化を始めている。中でも特徴的な点について、以下触れてみたい。
(1)20〜30代の夫婦のみ世帯で「妻の車」が変わる
 現在20%前後の保有率だが、将来は拡大するとみられている20〜30代の夫婦のみ世帯は、少子化の進展で2005年には、95年での137万世帯から 164万世帯に層的に増大する。
 既婚女性は、乗用車に対しては、「街中での使いやすさや小回り性」を求めているが、この層ではさらに今後「レジャーユースニーズ」が高まる等により、軽RVやコンパクトステーションワゴン等が求められるだろう(図9)。
(2)高齢者夫婦のみ世帯の2台目は軽かRVか
 50代以上の夫婦のみ世帯は、2005年には757万世帯(95年の565万世帯)となり、層的には著しく増大する。このため自動車保有率も急増する。
 今後高齢女性の就労率の高まり、中高年女性ドライバーの増加で2台目は妻保有の割合も増加する。そこでは経済性が重視され、軽自動車の選択比率が拡大する(図10)。また複数保有の増加は、軽のみならずRV選択も高める。この場合の2台目は、夫の使い分け車としての位置づけである。今後は若齢層のみならず、高齢者のRV普及が高まるだろう。
(3)小さな子供のいる共稼ぎ夫婦では「大型のRV  ―実用車」の組み合わせが増加
(4)親と同居する子供たちの自動車保有ニーズの減少
(5)三世代世帯における3台以上保有の増加
 以上の複数保有の質的内容の変化のほとんどは、女性が牽引者となっていくようである。

(図9)コンパクトなRVに対するニーズの拡大

(図10)軽自動車選択比率の拡大


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