ニュースリリース

2020年度小型・軽トラック市場動向調査について
~今回は郵送法による事業所を対象にした調査~

一般社団法人 日本自動車工業会(会長:豊田 章男)は、2020年度に実施した『小型・軽トラック市場動向調査』の結果をまとめました。

本調査は、小型・軽トラックユーザーの保有・購入・使用実態の変化を時系列的に把握し、今後の市場動向を探っていくことを目的に、2年に一度実施しています。しかし今回は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、調査方法を従来の訪問留置法から郵送法に変更したことにより、前回まで行っていました小型・軽トラックユーザーを対象とした<車単位調査>は中止し、一般の事業所を対象とし<事業所単位調査>のみを実施いたしました。
その結果、前回まで収集していた、使用実態に関する項目や農家を対象にした項目などは、調査を断念しております。
今回の分析は、時系列として「保有状況と変化の背景」「今後の購入・保有意向」、トピックとして新型コロナウイルスによるユーザーの経営状況、保有・購入の意識への影響を含めた、以下の5つを取り上げております。

  1. 新型コロナウイルスによる影響
  2. 環境意識と次世代環境車
  3. 安全意識と先進安全技術
  4. 次世代技術に関する意識(自動運転・コネクティッド機能)
  5. 運転手不足の現状と課題

調査結果の主な特徴は以下のとおりです。

保有状況と変化の背景

  • 小型・軽トラック・バン全体の保有台数は減少傾向が継続。
    車種別にみると、小型・軽トラック及び軽ボンバンの減少傾向は継続。小型バンは2018年以降少しずつ上昇。軽キャブバンは伸長傾向が継続。
  • 最近1~2年間のトラック・バン保有台数は、「保有増」事業所が「保有減」事業所を5%上回るが、前回から微減。
  • 前回と比べて減少が目立つのは貨物運送業。
  • 事業所全体で「稼働低下+休車」が上昇。

今後の保有・購入意向

  • 小型・軽トラック・バン全体の需要台数はリーマンショック後の2010年水準まで低下。
  • 今後1~2年間の保有増減意向をみると、製造業を除き保有増意向事業所が増加。
    特に運輸業では保有増意向事業所が3割弱と保有増意向が上昇。
  • 代替延期が約4割に上昇。特に運輸業以外で増加。

新型コロナウイルスによる影響

  • コロナ禍の影響により全体の6割が経営状況悪化。7割弱の事業所はコロナ拡大前の状況に戻るまで2年以上かかる見通し。輸送量も半数強の事業所で減少、納入頻度は変化せず、少量の荷物を運ぶ割合が増加、経営状況悪化に影響か。

環境意識と次世代環境車

  • 次世代環境車の中では、「ハイブリッド車」に対する購入意向が最も高く、特に「プラグインハイブリッド車」が伸長。

安全意識と先進安全技術

  • 安全性に対して約9割が関心を持ち、約8割が購入時に重視。運輸業では関心度・重視度が高い。

次世代技術に関する意識

  • 自動運転技術への期待は高いが導入意向とは未だ連動せず。コネクティッド機能の運輸業以外での利用率は1割以下が殆ど。一方、運輸業では「燃費管理」「エコ運転管理」「車両位置確認システム」を5割程度が利用、前回から20ポイント程度上昇。

運転手不足の現状と課題

  • 運輸業では、運転手不足で困っている事業所は減少したものの、半数以上で未だ課題。

報告書は一般向けに配布するとともに、当会ホームページにも掲載します。

以上

ご参考

2020年度小型・軽トラック市場調査の概要

1.調査実施概要(2018年度と2020年度の事業所単位調査比較)
○2020年度調査期間:2020年10月1日(木)~11月9日(月)
2018年度 2020年度
調査手法 訪問留置調査法 郵送調査法
調査地域 東京都周辺50キロ圏及び大阪市・名古屋市各30キロ圏
調査対象業種 運輸業/建設・設備工事業/卸売・小売業、飲食店、宿泊業 /情報通信業、医療・福祉、教育・学習支援業、サービス業
調査対象事業所 従業者5人以上の事業所 従業者5人以上の小型・軽トラック保有 事業所及び小売、飲食業の非保有事業所
対象リスト入手先 東京商工リサーチ 帝国データバンク
集計母集団 2015年経済センサスの東京都 ・愛知県・大阪府の事業所数 2018年度調査結果より推計した小型 ・軽トラック保有・非保有事業所数
有効回収数 759サンプル 1,230サンプル
2.調査結果概要
総括
【市場動向】
  • 保有台数は小型バン、軽キャブバンは増加、小型・軽トラック、軽ボンバンは減少。最近1~2年間のトラック・バン保有台数は、「保有増」事業所が「保有減」事業所を上回るが、前回から微減。減少が目立つのは貨物運送業。
  • 今後1~2年間の保有増減意向をみると、製造業を除き保有増意向事業所が増加。特に運輸業では保有増意向が上昇。
【コロナ影響】
  • コロナの影響により全体の6割が経営状況悪化。7割弱の事業所はコロナ前の状況に戻るまで2年以上かかる見通し。
  • 輸送量も半数強の事業所で減少、納入頻度は変化せず、少量の荷物を運ぶ割合が増加、経営状況悪化に影響か。
【新技術の受容】
  • 安全装備へのニーズが向上、次世代環境車検討が増加も、価格、電気自動車の航続距離等に懸念。
  • 自動運転技術への期待は上昇するも、導入意向は2割以下。
1)時系列分析
保有状況と変化の背景
  • 小型・軽トラック・バン全体の保有台数は減少傾向が継続。
    車種別にみると、小型・軽トラック及び軽ボンバンの減少傾向は継続。小型バンは2018年以降少しずつ上昇。
    軽キャブバンは伸長傾向が継続。
  • 最近1~2年間のトラック・バン保有台数は、「保有増」事業所が「保有減」事業所を5%上回るが、前回から微減。
  • 前回と比べて減少が目立つのは貨物運送業。
  • 事業所全体で「稼働低下+休車」が上昇。
今後の購入・保有意向
  • 小型・軽トラック・バン全体の需要台数はリーマンショック後の2010年水準まで低下。
  • 今後1~2年間の保有増減意向をみると、製造業を除き保有増意向事業所が増加。
    特に運輸業では保有増意向事業所が3割弱と保有増意向が上昇。
  • 代替延期が約4割に上昇。特に運輸業以外で増加。
2)トピック分析
新型コロナウイルスによる影響
  • コロナ禍の影響により全体の6割が経営状況悪化。7割弱の事業所はコロナ拡大前の状況に戻るまで2年以上かかる見通し。輸送量も半数強の事業所で減少、納入頻度は変化せず、少量の荷物を運ぶ割合が増加、経営状況悪化に影響か。
    • 保有台数へのコロナ禍の影響は少なく、9割強の事業所で変化なし。
      6割弱の事業所で商品・物資輸送量が減少。
    • 小型・軽トラック非保有の小売業、飲食業の4割弱で宅配便等の外注利用が増加。
安全意識と先進安全技術
  • 安全性に対して約9割が関心を持ち、約8割が購入時に重視。運輸業で関心度・重視度が高い。
    • 実施中の安全対策は「車両の定期点検・整備の促進」「シートベルトの着用」「法定速度の遵守」。
    • 購入時に必要な安全装備は、「運転席エアバッグ」「ドライブレコーダー」。
    • 装着意向が高い先進安全技術は「衝突被害軽減ブレーキ」「歩行者の検知・保護支援システム」。
次世代技術に関する意識
  • 自動運転技術への期待は高いが導入意向とは未だ連動せず。コネクティッド機能の運輸業以外での利用率は1割以下が殆ど。一方、運輸業では「燃費管理」「エコ運転管理」「車両位置確認システム」を5割程度が利用、前回から20ポイント程度上昇。
    • 自動運転技術への期待は8割弱まで上昇も、導入意向は2割弱。導入したくないも3割超。
    • 運輸業で現在使用しているコネクティッド機能の上位は「燃費管理」「エコ運転管理」「車両位置確認システム」で、それぞれ前回から20ポイント程度上昇。
    • 運輸業で今後利用したいコネクティッド機能の上位は、「車両の故障予知管理」「車両点検管理」「運転負担軽減管理」。
運転手不足の現状と課題
  • 運輸業では、運転手不足で困っている事業所は減少したものの、半数以上で未だ課題。
    • 女性運転手、65歳以上運転手比率が増加。
    • 運輸業は30~50代男性運転手の採用の意向が高いものの、現状では60代以上男性の採用率が高い。
    • 採用上の障害点として「ドライバーに配慮した車両(AT車等)が必要」「給与額で年金が支給されないなど、待遇面で問題」があがる。
    • 運転手の待遇改善として「健康診断受診の徹底」「安全対策の徹底」に取り組む事業所が多い。

以上

資料
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