ニュースリリース

2021年度二輪車市場動向調査について

一般社団法人日本自動車工業会(会長:豊田 章男)は、2021年度に実施した二輪車市場動向調査の結果を取りまとめました。
本調査は、新車購入ユーザーにおける特性や使用状況、今後の購入や保有の意向などを隔年毎に調査し、需要の質的変化の見通しに役立てようとするものであります。
また、昨今の市場環境の変化が販売に与える影響を検討するため、トピック調査も実施しました。

I-1.新車購入ユーザー(時系列)調査結果

  • 二輪車需要は、新型コロナウイルス感染拡大の影響下において、二輪車の“三密”を避けて移動できる有用性や、ワークライフバランスの充実に適した趣味という特性が認められつつあること等を背景に、2020年度は375千台と2019年度の360千台から微増している。二輪車保有台数の推移は緩やかな減少傾向が継続しているが、原付第二種と小型二輪の保有台数は足下で微増している。
  • 年齢をみると2019年度まで年々高齢化が進んでいたが、今回は前回に比べ、30代以下の構成比が3ポイント増加し32%となり、全体の平均年齢が54.2歳と前回より0.5歳低くなった。
  • 全体での週間使用日数は平均3.7日から3.3日に減少している。月間走行距離は平均239kmと前回と変わらない。
  • 購入形態は55%が買い替え(前回60%)、再購入が20%(前回15%)、買い増し14%、新規11%と、買い替えが減少し、再購入が増加している。
  • 購入した二輪車へ期待する点はスクーターやビジネスはコストや移動の利便性、オンロードやオフロードは走る心地よさや楽しさ、解放感である。
  • 二輪車継続乗車意向の変化をみると、「継続乗車意向あり」が今回85%と前回から3ポイント増加している。

I-2.トピック調査結果

1) EV二輪車に対する意識、ニーズ、ユーザーの受容性について
  • EV二輪車の認知度は名前程度でも7割以上と高く、イメージでは「環境に良い」「音・振動が静か」などのポジティブなものとともに「購入価格が高い」が多い。
2) コロナ禍におけるユーザーの変化について
  • コロナ感染拡大の二輪車購入への影響は、新規ユーザーに多く、具体的には「密を避けて移動できる有効な手段」という意識が購入に影響している。特に軽二輪・小型二輪において「ライフスタイルの再考」「自粛下でも楽しめる趣味」という価値観の増加が見られ、二輪車の再評価をもたらしている。
3) その他
  • 次期希望二輪車の希望タイプは、「オフロードタイプ」、「スクータータイプ」が中心で新車希望は8割と高い。

II.FGI調査結果

1) 販売・購入・今後の乗車意向
  • 購入のきっかけは、テレビアニメや漫画の影響、進学、就職をはじめとしたライフスタイルの変化、親をはじめとする家族など周囲の影響の3つに大別される。
2-1) EV二輪車
  • EV二輪車の認知度は低くイメージしにくい。購入に際しての追加的費用は許容されがたいが、環境面では評価されている。
2-2) コロナ影響
  • コロナ影響については、在宅中に少し乗る機会が増えた、宿泊を伴うツーリングを実施しなくなった、買い物での利用が増えたといった傾向も指摘される。また、コロナ収束の際には、旅行・一人旅を実施したいといった、コロナ影響をポジティブにとらえ直す意向も見られる。
2-3) その他
  • 二輪車が持つ魅力として、風を切る快感やエンジンの振動、加速感、自ら操作する感覚のほか、一人で気軽に乗れる身軽さ等があげられた。

III.今後に向けて

  • 今後の二輪車市場の活性化に向けた、足元の動向と目指す方向性、二輪車が持つ利点・魅力を整理した。

なお、上記の特徴ならびに詳細については報告書をご参照いただきたい。
報告書は当会ホームページにも掲載する。

以上

ご参考

2021年度二輪車市場動向調査の概要

1. 調査設計
(1) 郵送調査
調査手法 国産二輪車:郵送調査法(書面による回答とWEBによる回答併用)
輸入二輪車:インターネットモニターWEB調査
調査地域 全国
調査対象 国産二輪車:2020年6月~2021年5月の新車購入者(国内4メーカー ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)
輸入二輪車:2018年6月~2021年5月の新車購入者
対象者抽出 国産二輪車:調査応諾者より、タイプ別×排気量別の市場構成に合わせ対象者を割当、抽出
輸入二輪車:インターネット調査モニターより調査対象条件該当者を抽出
調査期間 2021年9月3日(金)~2021年10月6日(水)
サンプル数 4,897s
(2) グループインタビュー調査
調査対象

二輪車保有・利用ユーザー
調査手法 FGI(フォーカスグループインタビュー)調査
新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、リモートにて実施
調査地域 全国
グループ 下記3グループ(1グループ4名)

①大型二輪免許(排気量無制限)を保有するユーザー
②普通二輪免許(排気量400㏄まで)を保有(普通二輪小型限定免許含む)するユーザー
③原付免許(排気量50㏄まで)を保有するユーザー

調査期間 2021年11月19日(金)、20日(土)
調査時間 1グループにつき、およそ1.5時間
2−1.新車購入ユーザー調査結果
1) 二輪車をめぐる諸環境
  • 足下の需要台数は新型コロナウイルス感染拡大の影響下において、二輪車の“三密”を避けて移動できる有用性や、ワークライフバランスの充実に適した趣味という特性が認められつつあること等を背景に、2020年度は375千台と2019年度の360千台から微増している。
  • 全体の保有台数の推移は緩やかな減少傾向が継続しているが、原付第二種と小型二輪の保有台数は足下で微増している。
  • 原付免許取得者数は、2019年度まで減少傾向が続いていたが、2020年度は96,000人と前年度よりやや増加している。また、普通・大型二輪免許取得者数は2017年度まで減少傾向であったが、2018年度以降は回復基調で推移している。
  • 原付第一種の保有台数は落ち込むものの、原付免許取得者はやや増加しており、他については足下で保有、免許取得者とも回復の兆しがうかがえる。
2) 二輪車ユーザーの特性
  • 性別は男性が中心で85%を占め、この傾向は変わらない。
  • 年齢をみると19年度まで年々高齢化が進んでいたが、今回は前回に比べ、30代以下の構成比が3ポイント増加し32%となり、全体の平均年齢が54.2歳と前回より0.5歳低くなった。
  • オンロード軽二輪ユーザーの平均年齢はやや上昇したが、同小型二輪ではやや低下している。
3) 使用状況
  • 全体での週間使用日数は平均3.7日から3.3日に減少。使用日数は減少したが、月間走行距離は平均239kmと前回と変わらない。
  • タイプ別では、オンロードとオフロードの大排気量車で月間走行距離が他より長いのが特徴である。
4) 需要構造の変化
  • 購入形態は55%が買い替え(前回60%)、再購入が20%(前回15%)、買い増し14%、新規11%と、買い替えが減少し、再購入が増加している。
  • どのタイプも再購入は増加したが、特にオフロードで10ポイント増と増加幅が大きい。
  • 直前使用車の使用年数は全体では前回より若干増加したが、オンロード大排気量車ではやや減少した。
5) 購買行動
  • 二輪車以外の乗り物との比較検討率は13%と前回から4ポイント減少している。
  • 二輪車にした理由は経済性や「乗り慣れている」が高く、オンロードは「乗った時の爽快感」や「カッコいい」が高い。
  • 購入車の情報源はWebと販売店の実物が中心だが、若年層では口コミやSNSも活用される。加えて、オンロードとオフロードは二輪車専門雑誌や販売店での試乗など、多様な手段で情報を得ている。
6) 二輪車使用評価と課題
  • ユーザーが乗車時に気にするのは主に雨及び暑さ・寒さである。外出先の駐車場(少ない・料金が高い)や、特に軽二輪以上のユーザーにとって、高速道路料金(高額)の問題が改善されると乗車機会が増える。
  • 購入した二輪車へ期待する点はスクーターやビジネスはコストや移動の利便性、オンロードやオフロードは走る心地よさや楽しさ、解放感である。
  • 購入した二輪車への満足度は概ね高く、特にスピード感は期待度を大きく上回る。
  • 「駐車で困った経験」は全体で24%、特に東京23区では51%と半数以上など都市部ほど高い。
7) 二輪車の楽しみ方と期待
  • オンロードユーザーを中心にツーリング経験率は高く、特に宿泊を伴うものへの意向も高い。オンロードユーザーはサーキットの体験走行への意向も高い。
  • 洋用品の所有意向はライディングウェア、グリップヒーター、インカムへの意向が高い。
  • 二輪車を楽しむための情報源としては専門誌、Webや口コミやSNSのほか会員サービスやイベントからも情報収集されている。男性50代以下とオンロードユーザーでは口コミとSNSの活用も特徴的である。
8) 今後の意向
  • 二輪車継続乗車意向の変化をみると、「継続乗車意向あり」が今回85%と前回から3ポイント増加している。
  • 男性30代~50代は、「今後もずっと二輪車に乗り続けたい」割合が高い一方、男性60代は「10年以内に乗らなくなる」と「あと数年でやめるつもり」を合わせた割合が22%、同70代以上は43%と高くなる。
  • 環境変化別二輪車保有・乗車意向をみると、「保有を中止する」が最も高いのは「駐車スペースがなくなった時」で55%と最も高く、次いで「経済的に余裕がなくなったとき」が48%などである。
  • オンロードユーザーでは大型二輪免許の取得意向が他のタイプに比べ高く、希望時期も前回調査より「3年以内」の割合が増加傾向にある。
2-2.トピック調査結果
1) EV二輪車に対する意識、ニーズ、ユーザーの受容性について
  • EV二輪車の認知度は名前程度でも7割以上と高く、イメージでは「環境に良い」「音・振動が静か」などのポジティブなものとともに「購入価格が高い」が多い。
  • EV二輪車の購入意向は1割程度と低く、懸念点としては「維持費面の不安」や「耐久性」、また購入のための条件としては「購入価格の低下」や「航続距離が長くなること」を挙げている。
2) コロナ禍におけるユーザーの変化について
  • 二輪車使用の変化を見ると、各用途とも大きな変化はない中、増えている用途としては、「1人でのツーリング」、また減っている用途では「バイク仲間とのツーリング」がそれぞれトップと、コロナ禍を反映した結果となっている。
  • コロナ感染拡大の二輪車購入への影響は、新規ユーザーに多く、具体的には「密を避けて移動できる有効な手段」という意識が購入に影響している。
  • コロナ感染拡大による二輪車の考え方の変化は、「密を避けて移動できる有効な手段」とともに、特に軽二輪・小型二輪において「ライフスタイルの再考」「自粛下でも楽しめる趣味」という価値観の増加が見られ、二輪車の再評価をもたらしている。
3) 乗換需要について
  • 今後の二輪車購入意向率は約5割と、購入意向は高い。
  • 次期希望二輪車の希望タイプは、「オフロードタイプ」、「スクータータイプ」が中心で新車希望は8割と高い。
4) 安全に関する意識変化・関心度について
  • 各種安全運転関連の取り組みの経験率は、「オンラインでの動画視聴」の30%がトップと経験度はあまり高くないが、経験者の各種取り組みへの評価は全般的に高く、特に「安全運転講習会(座学)」に対する高齢層の評価は高い。
5) 新規ユーザー・若年層ユーザーの獲得について
  • 新規ユーザーの二輪車新規購入理由は「二輪車を趣味として楽しみたい」、「行動範囲が広がる」が全般的に多く、「オンロード」、「オフロード軽二輪」ユーザーは「二輪車に乗ることに憧れていた」、「爽快感を得られる」、「二輪車はカッコいいと思う」、「解放感を味わえる」などが他よりも多くなっている。
6) 二輪車イベントとの関わり方について
  • 二輪車イベント参加率は、全体で約2割程度と低い。参加率が高いのは、「オンロード小型二輪」ユーザー、「男性40代・50代」、「複数所有買い替え」「買い増し」「輸入車」ユーザー。
  • 参加イベント上位は「モーターサイクルショー」、「ツーリング仲間との交流」、「新車の試乗会」などである。
3. FGI調査結果
1) 販売・購入・今後の乗車意向
  • 購入のきっかけは、テレビアニメや漫画の影響、進学、就職をはじめとしたライフスタイルの変化、親をはじめとする家族など周囲の影響の3つに大別される。
2-1) EV二輪車
  • EV二輪車の認知度は低くイメージしにくい。購入に際しての追加的費用は許容されがたいが、環境面では評価されている。
2-2) コロナ影響
  • コロナ影響については、在宅中に少し乗る機会が増えた、宿泊を伴うツーリングを実施しなくなった、買い物での利用が増えたといった傾向も指摘される。また、コロナ収束の際には、旅行・一人旅を実施したいといった、コロナ影響をポジティブにとらえ直す意向も見られる。
2-3) その他
  • 大型免許保有者は主にサイズダウンを、原付免許保有者は主にステップアップを検討するとの指摘が見られる。また、購入に際し親の動向が子に影響を与えた例が示されている。
  • 二輪車が持つ魅力として、風を切る快感やエンジンの振動、加速感、自ら操作する感覚のほか、一人で気軽に乗れる身軽さ等があげられた。
4.今後に向けて
  • 今後の二輪車市場の活性化に向けた、足元の動向と目指す方向性、二輪車が持つ利点・魅力を整理する。
4.今後に向けて
【2022/6/10追記】本リリース記載内容の一部に誤りがあったため訂正いたしました(修正箇所は赤字にて記載)。
たいへんご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。

以上

資料
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