ニュースリリース

9/12 EUの自動車産業の未来に関する戦略的対話に向けたポジションペーパーを公表

一般社団法人日本自動車工業会(会長︓片山正則 以下、自工会)は、2025年9月12日に開催されるEUの自動車産業の未来に関する戦略的対話に向けたポジションペーパーを発表しました。

EUでは、運輸部門の気候目標の達成の為、乗用車および小型商用車のCO2排出量規制に関して、2035年に内燃機関車を販売禁止とすることが決定しましたが、自工会は、EU含む全ての国が2050年までにカーボンニュートラルを達成するための実用的かつ持続可能なマルチパスウェイを提供する上で、複数の技術オープンなアプローチによる柔軟性が必要であると考えております。

その様な中、自工会は、欧州委員会ならびに欧州議会、EU加盟各国政府に対し、技術中立性を維持し多様なアプローチでのカーボンニュートラルに達成に向け柔軟性の確保や、再生可能燃料のCO2削減効果を考慮し導入拡大に向けた政策的取り組みの強化等を要望致します。

自工会は、今後も、地域のお客様やエネルギー事情に合わせた多様な道筋で2050年カーボンニュートラルに向けて全力でチャレンジしてまいります。

※ポジションペーパーの原文はこちら

発表された原文の抄訳は以下の通りです。

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欧州自動車産業の将来に関する戦略的対話に向けた欧州CO2規制に対するJAMAの見解
– 持続可能な未来への多様な道筋を探して –

日本自動車工業会(JAMA)は、乗用車、トラック、バス、二輪車を生産する自動車メーカー14社から成る非営利団体です。我々の会員企業がEUで行っている、自動車の生産、販売および輸出等の企業活動に対して、欧州委員会ならびに欧州議会、EU加盟各国政府より、日頃温かいご支援をいただいていることに関し、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

ダイハツ工業株式会社、日野自動車株式会社、ホンダ技研工業株式会社、いすゞ自動車株式会社、カワサキモータース株式会社、マツダ株式会社、三菱自動車工業株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社、日産自動車株式会社、株式会社SUBARU、スズキ株式会社、トヨタ自動車株式会社、UDトラックス株式会社、ヤマハ発動機株式会社

JAMA会員メーカーは2024年、EU域内で約61.6万台の自動車を生産し、約1.47百万台を販売、さらに、約138億ユーロのEU製自動車部品を購入しました。EUの消費者が求める自動車を設計、開発、販売する能力を強化し、EU自動車産業の競争力に貢献できるよう取り組んでいます。

また、EUと日本は、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重といった基本的価値を共有する重要かつ戦略的パートナーであり、2019年2月の日EUEPA発効により包括的な経済的関係をさらに強めています。

さらに、世界中の自動車メーカーにとって、道路交通の脱炭素化は共通の目標であり、その実現に向け努力しています。JAMAも加盟している国際自動車工業連合会(OICA)は、EU含む全ての国が2050年までにカーボンニュートラルを達成するためのpracticalでsustainableなマルチパスウェイを提供する上で、複数の技術オープンなアプローチによる柔軟性が必要であることを確認しています。

その様な中、欧州の運輸部門の気候目標の達成の為、new passenger car/light commercial vehicleのCO2排出量規制に関して、2035年に内燃機関車を販売禁止とすることが決定しています。

しかしながら、近年EV普及については様々な要因から不確実性が露見し始めており、欧州の消費者からアフォーダブルな持続可能なバイオ燃料の活用を求める声も出だすなど、内燃機関を販売禁止とすることによる気候目標の達成は、困難になりつつあると考えます。

JAMAは、地域のお客様やエネルギー事情に合わせた多様な道筋で2050年CNに向けて全力でチャレンジしています。国際的にエネルギー分野で著名なシンクタンクに、欧州地域に関しても、2035年の新車のZEV比率が100%ではなくても、CN燃料を適切に使うことで2050年CN化の道があることを定量的に確認頂いており、環境と国際競争力、経済、エネルギー安保に貢献する多様な道筋がありうると考えています。

そのため、JAMAは以下の点を要望いたします。

  • JAMAは2035年以降も自動車メーカーが消費者に最適な選択肢を提供できるよう、CO2排出量規制における技術中立性を2035年以降も維持し、特定の技術にとらわれない多様なアプローチでのカーボンニュートラルに達成に向けた柔軟性を確保していただきたい。
  • CO2排出量規制において、例えばREDIIIで認められている再生可能燃料のCO2削減効果を考慮する措置の検討。および、再生可能燃料の導入拡大に向けた需給のバランスを踏まえた政策的取り組みを強化していただきたい。
  • EU域外の自動車メーカー、業界団体等のステークホルダーにも門戸を開き、透明性高く、内外差別なく、公平な競争環境を維持していただきたい。

JAMAおよび会員メーカーは今後も、欧州自動車産業の発展と競争力強化に貢献していく所存ですので、上記要望をご考慮いただければ幸いに存じます。

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