会長コメント
来年度重点テーマおよび次期体制の決定についてのコメント
一般社団法人 日本自動車工業会
会長 片山 正則
この一年、多方面で不確実性の高い環境が続きました。主要国間の緊張は世界経済の構図に影響を与え、特に新興地域では勢力図の変化が顕著です。こうしたなか、新興勢力の自動車は従来の固定観念を超え、技術・品質・コストの各面で急速に進化しています。
いま、私たち自動車産業は大きな転換点にあります。自動車産業は日本経済を牽引する中核産業の一つであり、その裾野の広さと波及力は極めて大きいものです。競争力の低下は広範な分野に影響を及ぼしかねません。
現在、主要国は関税や輸出規制などの政策手段を用いて自国産業を支えています。産業の発展には、企業の努力に加え、政策、国民の理解、他産業との連携を含む官民一体の取り組みが不可欠です。
自工会の存在意義は、これまで以上に重くなっています。協調領域を拡大し、生産性と国際競争力を業界全体で底上げする仕組みが重要です。
私にとっての2年間の会長職は、「自工会とは何か」を問い続けた時間でもありました。次の2年間は新体制に委ねられますが、何よりも重要なのは、全理事の意思と行動だと考えています。
今年初めに公表した「自工会ビジョン2035」の巻頭言では「元気玉」という表現を用いました。政策だけ、あるいは産業の自助努力だけでは乗り越えがたい課題に対して、この国の知恵・情熱・信頼を結集して前に進む——その象徴としての言葉です。
本日の理事会で審議した「新7つの課題」には以上の考えが通底しています。だからこそ、国際競争力と生産性向上を貫く視点を据えました。
新体制については、正副会長を中心に課題と背景を丁寧に議論し、次期会長会社にはトヨタ自動車にお願いしたいという結論にいたりました。本日の理事会において、全理事が賛同し、正式に決定いたしました。
在任中は多大なるご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
皆さまのご支援が自工会の力となり、数々の取り組みを前進させることができました。
これから新体制のもと、自工会は次の成長へ歩みを進めます。
変わらぬご支援を心よりお願い申し上げます。
以上

