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新年のご挨拶

一般社団法人 日本自動車工業会
会長 西川 廣人

皆様、新年明けましておめでとうございます。

昨年を振り返ってみますと、米国の全需が一昨年までの水準を下回ってしまったものの、グローバルな事業環境としては比較的穏やかで順調な年であったと思っております。また、国内市場に目を向けましても、景気の底固さから堅調に推移しておりまして、比較的順調な年であったということが私の実感でございます。

年初、世界的な保護主義の台頭が懸念されましたが、その中で昨年末には日本とEUの間で経済連携協定が妥結に至ったこと、また11カ国によりますTPPが大筋合意に至ったことは自動車業界にとりまして、また、日本の産業界にとりましても非常に大きな意味を持つ前進であったと思っております。これまでの政府関係者の皆様の多大なるご努力にあらためて敬意を表しますとともに、出来る限り早くの批准、発効を期待しているところでございます。

今年の経済環境についてですが、昨年12月に閣議決定されました「生産性革命」と「人づくり革命」を両輪といたします「新しい経済対策パッケージ」をはじめとする経済諸政策により、経済の好循環がさらに拡大をすることを大いに期待をしております。
 また米国におきましても昨年末成立いたしました税制改革法が米国経済の活性化に寄与するものと考えておりまして、堅調な事業環境が今年も続くと見ております。

自動車業界として、国内そしてグローバルそれぞれにおいて、直面する課題に精力的に取り組んでいきたいと考えております。
国内市場の活性化という点では、何をおいても「税制改正」の課題でございます。来年度の税制改正では消費税率10%引き上げ時の対応、保有税の総合的な見直し等、極めて自動車業界にとりましても重要な局面を迎えます。自工会として従来から主張しておりますとおり、車体課税の簡素化、低減に向けて関係される皆様と連携して、一丸となって万全な体制で取り組んでいきたいと思っております。

一方、世界を見ますと、自動車の進化や技術の革新が加速をしております。電動化の潮流、あるいは自動運転・AI等の技術革新は本年も引き続き、大きな進展があると見ております。

日本のモノづくり、そして日本経済の持続的成長のために私ども自動車業界が果たすべき役割は大きいと十分認識しております。その役割を果たすためにも、先端技術の進化と普及で世界の業界をリードしていくことが非常に重要だと思っております。

この進化と革新を進める上で、各社における技術開発や個社間でのしのぎを削る競争が大きな原動力である一方、インフラ整備や先進的な交通ルール、システムの整備等、協調領域の取り組みが非常に大きな力になると考えております。
この協調領域の取り組みですが、見方を変えますと、国、あるいは地域間での競争という面もございます。日本が自動車技術、あるいは自動車の市場としての先進性を揺るぎないものにしていくために、この協調領域での取り組みがさらに重要度を増していくと見ております。

東京オリンピック・パラリンピックが開催されます2020年に向けて、世界に日本の先進性をアピールする大きなチャンスと考えており、自動車業界としても全体の取り組みを進めて参ります。
今年も着実に課題に対して取り組み、また将来への備えを進める年にしたいと考えております。

皆様方には、引き続き、ご指導、ご支援、ご鞭撻を頂ければ大変幸いでございます。
最後になりますが、この一年が皆様にとりまして、実り多く、幸多き年になりますよう祈念いたしまして私のご挨拶とさせて頂きます。
ありがとうございました。

以上

(平成30年1月5日 自動車工業団体新春賀詞交歓会でのご挨拶より)

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